印刷物、Web、ラジオの台本、テレビなど、あらかじめ記録又は準備されたコミュニケーションは、リアルタイムに行われる対話によるコミュニケーションとは大きく異なっています。
対話の場合は、常に相手の反応を見ながら、メッセージのよりよい伝え方を模索しています。相手の注意力がそれている、理解しようとしている、あるいはイライラしているなど無意識のうちに反応して、声を大きくしたり、身振り手振りで、巧みな表現を使ったり、逃げ道を探したりもしています。
ところが、設計したシステムを通じてユーザーと「対話」する際、残念ながらユーザーの反応(あるとすればですが)は即座に返ってこないのが普通です。
Twitterのようなソーシャルメディアは例外として、多くの場合情報環境は、システムの所有者と作者のメッセージをユーザーへゆっくり翻訳して伝え、また元に戻す仲介メディアなのです。この「伝言ゲーム」であるがゆえにメッセージがあいまいになってしまいます。
ですから、目に見えるヒントもない仲介メディアを使った場合、コミュニケーションは非常に困難になります。そこでラベリングが重要になってくるのです。
相手と直接向き合えないというマイナスを最小限に抑えるために、情報アーキテクトはラベルの作成に全力を注ぐことになるのです。
情報環境のユーザーが使うのと同じ言葉を使いながらも、コンテンツを反映したラベルにしなければなりません。対話でもそうですが、ラベルについて疑問や混乱がある場合には意味をはっきりさせたり、説明を加えたりします。
新しい概念についてユーザーに教えるのは、ラベルの役割です。ユーザーと情報環境の所有者との会話は、普通Webサイトのメインページから始まります。その会話がどれだけうまくいくかを知るには、設計の他の部分はできる限り見ないようにして、サイトのメインページを見て自問自答するに限ります。
「このページで目立っているラベルは自分が見ても目立った印象を受けるのだろうか?もしそうなら、それはなぜだろう?」
(たいていの場合、失敗したラベルほど目立つと言われます。ということは、うまくいったラベルは気になりません)
新しい、予測のつかない、紛らわしいラベルの場合、その説明はありますか?
詳しく知るにはクリックが必要でしょうか?
科学的な根拠はありませんが、このようにラベルをテストすることで実際のユーザーとサイトとの対話がどうなるかが、感覚的にわかるようになります。