DX時代に企業が生き残る戦略

マーケティングの定義から考察する
まず基本的なところから、マーケティングとは何かですが、日本マーケティング協会では次のように定義しています。
マーケティングとは、企業および他の組織がグローバルな視野に立ち、顧客との相互理解を得ながら、公正な競争を通じて行う市場創造のための総合的活動である。
(公益社団法人日本マーケティング協会『マーケティングの定義』)
定義の最後は「市場創造」のための活動で終わっています。ここでわかるようにマーケティングとは市場を創ること。ではどのように作るのか。
マーケティングの意味は会社によって大きく異なるので一概に市場を創ることと言い難いこともあるのは事実ですが、間違いなくいえるのは、マーケティングは企業活動になくてはならないことということです。
ビジネスマンなら誰でも知っている経営学者、ピーター・ドラッカーは、次のような4つの言葉を残しています。
マーケティングの理想は、販売を不要にすることである。マーケティングが目指すものは、顧客を理解し、製品とサービスを顧客に合わせ、おのずから売れるようにすることである
(P.F.ドラッカー『マネジメント』)
企業とは何を理解するには、企業の目的から考えなければならない。企業の目的は、それぞれの企業の外にある。事実、企業は社会の機関であり、その目的は社会にある。企業の目的として有効な定義は一つしかない。すなわち、顧客の創造である。
(ピーター・ドラッカー.『現代の経営』)
マーケティングは、販売よりもはるかに大きな活動である。それは専門化されるべき活動ではなく、全事業にかかわる活動である。
(ピーター・ドラッカー.『現代の経営』)
企業の目的は顧客の創造である。したがって、企業は二つの、ただ二つだけの企業家的な機能をもつ。それがマーケティングとイノベーションである。マーケティングとイノベーションだけが成果をもたらす。他のものはすべてコストである
(ピーター・ドラッカー.『マネジメント』)
この4つをよく読むとマーケティングは販売を不要にすることであり、企業の目的である顧客の創造にはマーケティングが必要であることがわかります。
SEOでサイトが上位表示すれば、自らプッシュ営業における販売をする必要はなくなります。お客様のほうから問い合わせをしてくるようになるのです。
販売を不要にすることがマーケティングであれば、少し強引かもしれませんが、マーケティング=SEOといっても過言ではないかもしれません。
マーケティング手法から考察する
ではマーケティングにはどのようなものがあるか。すべてを出すことはむずかしいですが、代表的なマーケティング手法を挙げてみます。
- B2Cマーケティング(オフライン・オンライン・SEO)
- B2Bマーケティング(オフライン・オンライン・SEO)
- アウトバウンドマーケティング(オフライン)
- インバウンドマーケティング(オンライン・SEO)
- パーソナライズドマーケティング(オフライン・オンライン・SEO)
- DM(オフライン・オンライン)
- テレマーケティング(オフライン)
- 口コミマーケティング(オンライン)
- ブランドマーケティング(オフライン・オンライン・SEO)
- コンテンツマーケティング(オフライン・オンライン・SEO)
- アフィリエイトマーケティング(オンライン)
- SNSマーケティング(オンライン)
- メールマーケティング(オンライン)
ざっと挙げてみました。もちろん、探せばまだ出てくるはずです。企業はこのようなマーケティングを組み合わせておこない、売上を立てていきます。
マーケティング手法もオンラインのマーケティングとオフラインのマーケティングがあることがわかります。これらのマーケティングを連携させてつないで施策を打ちデータを共有していくのがオムニチャネル戦略であります。
また、オンラインのマーケティングは、オフラインと比べてよりデータを収集できるので、データに基づく効果検証が可能です。オフラインの施策もアイデアと工夫とオンラインとの連携である程度、データを蓄積することが可能です。
データを貯めたら、そのデータを解析し新しい打ち手を打っていくのがデータドリブン戦略といいます。
オムニチャネル戦略とデータドリブン戦略は、DX時代に企業が生き残る戦略として欠かせないものといってもよい戦略です。
また、ユーザーや消費者の行動を把握することも重要です。
WEB集客における※1ユーザーの※2カスタマージャーニーは、現在、AISCEAS(アイシーズ)といいます。(後述します。)
オムニチャネル戦略で常にオフラインとオンラインのデータを集め、カスタマージャーニーの動きに合わせて対策をしていくことが、DX時代の※3リード獲得です。何度も言いますが、その中心にあるのが、サイトへのセッション数を増やすSEOなわけです。
さて、マーケティングの手法をいくつか挙げましたが、その中にはコンテンツマーケティングがありました。
コンテンツマーケティングは、オンラインであってもオフラインであっても成立しますが、コンテンツマーケティングはよくSEOだと言われることがあります。もう少しいえば、コンテンツマーケティングはコンテンツSEOであると言われています。
SEOとは検索順位を上げるための最適化のことですが、検索順位を上げればユーザーの目に触れる事が多くなるので必然的にアクセスが多くなり、結果的に問い合わせや売上が多くなるということです。
ユーザーのさまざまな要望に対するコンテンツを増やすことで対策できるのがコンテンツSEOです。
一般に、コンテンツは作れば作るほどSEOに強いサイトができます。ページが多いほど強いということは、それだけ積み上げるのに時間がかかります。
競合のサイトが強いと思っていて自社は敵わないと思うと、それが参入障壁になってしまいますが、裏を返せばある程度強くなれば競合が入ってこられないだけの壁を作ることができるともいえます。
時間がかかる、だからこそ、早い段階で手を打ってコンテンツを作る必要があるというのがコンテンツSEOの特徴であり、強みです。
長い期間をかけて積み上げたコンテンツは簡単には覆りません。であれば生成AIが公開され、中小企業で資金がなくても戦える今こそ、社長のITリテラシーを上げて、コンテンツSEOを積み上げておくことで、将来的に営業人材がいなくても売上を立てられる環境が作れるのです。
WEBサイトは24時間365日、休みなく働いてくれる最高の営業マンです。そんな営業マンを育てるには何年もの時間がかかります。しかし、一度育てることができれば放っておいてもある程度の売上を確保できます。これはSEOの強みであり、広告ではできないことです。
まとめ
1.オムニチャネル戦略で常にオフラインとオンラインのデータを集め、
カスタマージャーニーの動きに合わせて対策をしていくことが、DX時代のリード獲得
2.リード獲得の中心にあるのが、サイトへのセッション数を増やすSEO
3.社長のITリテラシーを上げて、コンテンツSEOを積み上げておく
※1ユーザー……顧客
※2カスタマージャーニー……顧客がおこす購買までの動き
※3リード獲得……顧客獲得
このコラムは、書籍『経営者向け DX新時代に中小企業が生き残る最新企業戦略: ~デジタルマーケティングの恩恵による事業拡大~ Kindle版』の第1章に掲載されています。さらに詳しい内容を読みたい方は、是非、書籍を購入してください。