DX時代の中小企業マーケティング

中小企業マーケティング

DXとは

DXとはデジタルトランスフォーメーションの略で、意味はデジタルを活用してビジネス改革を起こすことです。

2022年4月に、経済産業省は中堅・中小企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)を促進する目的で、「中堅・中小企業等向け『デジタルガバナンス・コード(https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/investment/dx-chushoguidebook/tebiki2-0.pdf)』の実践ガイド」をまとめました。このガイドは、DXを推進する企業経営者や、そのような企業を支援する機関に向けて作成されています。

デジタルガバナンス・コードでは、DXを次のように定義しています。

 

企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。

(中堅・中小企業等向け『デジタルガバナンス・コード』実践の手引き)

 

ただ、このDXという言葉にはかなり疑問があります。端的に言えば、DXという言葉に踊らされてきているということです。

 

DXはデジタルを活用して競争上の優位性を確立するとあります。言い方を変えると、デジタル技術を利用して生産性を上げる、とも解釈できます。

 

事実、WEBミーティングを導入して生産性を上げたという会社は山ほどあります。ではWEBミーティングを導入することはDXなのか。それはDXとは言えないと思います。WEBミーティングがデジタル技術で競争上の優位性が確立されたとは言えないからです。

 

もっと本質的なところを考えますと、日本の企業の99.7%は中小企業といわれています。(※中小機構参照 https://www.smrj.go.jp/recruit/environment.html

 

では99.7%はどうやればこのDXで、競争優位性を保てるのか。それを探っていきたいと思います。


今後のDX時代と日本

 

まず、今後のDX時代と日本について触れておきます。

 

誰しも認識しているように日本の人口のピークは既に過ぎ去っています。ということは、今後の日本の人口は減り続けるということです。人口が減り続けるということはWEBマーケティングも人口減少時代の売り方に変化していくということです。

 

さて、この本が狙いどおりに販売できていれば、本書を読んでいるのは中小企業の代表や事業責任者、個人経営者などになっているはずです。その代表者、事業責任者、個人経営者に伝えたいことは労働生産性を高めなければ生き残ることはますますむずかしくなるということです。

 

経営のむずかしいところに労働生産性を高めるという指標があります。当たり前ですが、労働生産性が高いほど良い企業です。そして、高い労働生産性を維持できるということは経営者の腕が素晴らしいということです。

 

では、現在の日本の労働生産性はどうなっているかといえば、圧倒的に大企業に偏っています。企業が大きければ、特定の分野を専門的に扱えるので労働生産性を高く維持することができます。

 

大企業より労働生産性が低い中小企業は大企業に対して劣っているのかといえば、必ずしもそうではありません。業種にもよるが素晴らしい中小企業の事例は数多確認できます。

 

しかし、会社の規模が小さくなるほど、1人あたりの業務量が増え、生産性を上げる障壁になります。大事なことは労働生産性を高めることだとわかっていても中小企業にとっては難しいのです。


労働生産性を上げる方法

 

ここで、多くの中小企業でも比較的容易に労働生産性を上げる方法があるのです。それがマーケティングです。よくセールスとマーケティングが混合されますが、セールスは「ものを売ること」であり、マーケティングは「ものが売れる仕組みを作ること」です。

 

セールス活動は見込み顧客を商品やサービスを購入する顧客に転換させることを目的にするため、見込み顧客と対話することで商品を購入してもらうように納得してもらう。そのため、セールス活動では個人や小規模グループを対象にしています。

 

対して、マーケティングは商品に興味を持ってもらう最初のきっかけを創り出し、見込み顧客を作るところから始まります。だから、顧客ニーズを特定する調査、商品開発、宣伝活動などもマーケティング活動に含まれます。そうなると必然的に一般的な消費者全体や大規模なグループを対象にすることになります。

 

セールスは個人が販売活動をするのに対し、マーケティングは仕組みで売るのです。これは会社のスケールはもちろん、労働生産性にも大きな影響を及ぼしています。

 

セールスは労働集約型なので、個人の活動時間と売上数値に非常に強い相関があります。要は動けば動くほど売れるということですが、これは逆を言えば動ける時間の総数が売上の限界ということです。

 

仮に1時間に10万円の売上を出す営業マンがいたとします。この場合、1日8時間労働とすると1日で80万円の売上、1ヶ月を20日稼働だとすると1600万円の売上、1年で約2億円の売上です。しかし、実際には会社に拘束されている8時間すべてを営業活動に充てられるわけではないので、ざっくり半分稼働して1年で1億円の売上と仮定します。1人で1億円の売上を作れるのはすごいですが、これが会社として1人当たりの売上の最大値となってしまいます。

 

ここに労働集約型の限界があります。エース社員の数値はある程度再現できても、一定以上は再現できないのです。1年で1億円の売上を作るエース社員の真似をして、10人で営業をしても売上は10億円にはならないことが多いです。

 

では労働集約型のセールスとは反対の資本集約型で考えるとどうか。資本集約型なので設備への依存度合いが非常に高い。つまり、属人的ではなく、仕組みによって販売活動をするということです。すなわち、マーケティングです。

 

マーケティングは怪しい、嘘、欺瞞、ステマ、操作的というようなネガティブな印象を持たれていた時代もありますし、現在でも同様の見方は一定層、続いているかもしれません。

企業が短期的に収益を求めるためにセールスに力を入れる=マーケティングコストを削減するということは頻繁にみられます。

 

さらにマーケターの予想を信じ、多額の予算をつぎ込んだにもかかわらず効率的でも効果的でもなかったというような結果に愕然とし、マーケティングは金食い虫のうえに効果が出ないと言われてしまった事例もあります。

 

こういったケースでは、マーケティングが悪いのではなく経営者が悪いのです。およそ大企業と呼ばれる会社でマーケティングを行っていない会社はないと言ってもよく、ですからマーケティングそのものは効果的であることは間違いのない事実です。

 

まとめ

1.労働生産性を上げるには、マーケティングが必須

2.労働集約型から資本集約型にする

このコラムは、書籍経営者向け DX新時代に中小企業が生き残る最新企業戦略: ~デジタルマーケティングの恩恵による事業拡大~ Kindle版』の第1章に掲載されています。さらに詳しい内容を読みたい方は、是非、書籍を購入してください。
アマゾン本『経営者向け DX新時代に中小企業が生き残る最新企業戦略: ~デジタルマーケティングの恩恵による事業拡大~ Kindle版』

お問い合わせcontact

お見積り、サービスに関するご相談など、お気軽にお問い合わせください。

Contact